ピアノ線

0.75~0.85%炭素Cをもつ高炭素鋼、熱処理後に冷間引抜き*2によって引張強さ*3が増して実用材料として最高の強さ(ばねが丈夫)を持っている。
耐熱性はあまり無い。磁性が強い。錆易いので、表面処理等の対策が必要。
*2:冷間引抜き又は冷間圧延・・・常温で素材の断面大きさよりも小さな穴(隙間)を通すことによって、素材の断面が小さく変化し、加工硬化により引張強さが増す。
しかしながら高温化では増加した引張強さが低下してしまう。寸法精度は、冷間加工していないものより良くなる。
*3:引張強さ・・・材料を引っ張って切断する時の最大の力を材料の断面積で割った値、材料の強さの目安
材料上下に力を加えて引っ張っていくと、材料は応力(形状や寸法を保とうとする抵抗力)を生じながら上下に伸びて(ひずみ=変形量)、変形し、最後は破断します。
比例限度内で、材料に力を加えるのを止めると、材料は元の寸法に戻ります。これを弾性変形と呼びます。
降伏点は、材料に力を加えていく中で、ひずみは増加するけれども、応力が減少し始める点で、降伏点を過ぎると材料に力を加えるのを止めても、材料は元の寸法に戻りません。
これを塑性変形と呼びます。降伏点を越えて材料を引っ張っていくと、材料は塑性変形を生じながら破断に至ります。
又、それまでの最大応力の値を断面積で割った値が引張強さになります。
例1:引張試験時 最大荷重100kg 材料の寸法1mm×1mmの角断面は?
100÷(1×1)=100 引張強さ100kg/mm2
例2:引張試験時 最大荷重100kg 材料の寸法φ1mmの円断面は?
100÷(π×12÷4)≒127.3 引張強さ127.3kg/mm2
弊社で使用する材料(バネ材)は、比例限度・弾性限度・降伏点に差異が少なく明確ではないので、材料長さの0.2%塑性変形する点を耐力と呼び、これも引張強さと同様に材料の強度の目安にしています。